『慢性疲労症候群』という病気をご存知でしょうか、今回は世界中で患者が確認されている『慢性疲労症候群』について書いていきます。
慢性疲労症候群とは
強烈な疲労感が長期間継続する疾患で、単なる疲労とは違い休息をとっても回復する事がありません。血液検査や脳波などの検査をしても特徴的な所見が見られない原因不明の疾患が慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome)です。
慢性疲労症候群の症状
疲労感
慢性疲労症候群では、日常生活に支障をきたす程の強い疲労感に襲われます。
診断基準の一つとしてこの疲労感が6ヶ月以上継続した場合慢性疲労症候群を疑うことになっています。
疼痛
全身または特定の部位に激しい痛みを伴う事があります。
不眠と過眠
自律神経の異常により、寝付けない、眠りが浅いなどの『不眠』や、朝起きられない、日中に極度の眠気に襲われるなどの『過眠』が現れることもあります。
気分障害
うつ病に似たような症状が出る事があります。また、注意力や集中力の低下、認知症のような症状が出ることもあります。
慢性疲労症候群の原因
現在、慢性疲労症候群に特異的な身体の所見は発見されておらず、原因は不明とされている。
しかし以下のものの複合的な原因の可能性が高いのではないかと世界中で研究が進んでいます。
ストレス
過度な精神的及び肉体的なストレスの後に慢性疲労症候群が発症する事が多いことから、ストレスによる体の諸反応の暴走が慢性疲労症候群の原因ではないかと言われています。
感染性疾患
サイトメガロウイルスやカンジタなどの細菌及びウイルス感染が原因だとも言われています。最近ではCOVID-19感染症から回復した人の中には、後に慢性疲労症候群に似た症状を発症する「ロングホーラー」も多く見られています。
免疫系の異常
免疫システムの異常が原因である可能性があります。その中にもいろいろな説がありますが、脳内のミクログリアの活性化が有力な説です。
遺伝及び環境
慢性疲労症候群は家族性の高い病気と考えられており、つまり遺伝的または環境的な要因の関与があるようです。
慢性疲労症候群の現状
慢性疲労症候群の現状は上にも記したように原因不明の疾患です。故に治療法も確立されていません。「もしかして、慢性疲労症候群かも」と思って病院に行ったとしても6ヶ月間は診断はおりません。その間には通常、他の疾患ではないことを確かめる除外診断が行われるでしょう。そもそも慢性疲労症候群をあまり知らないドクターも多くいます。結果、たくさんの医療機関をたらい回しになって、大量の薬を処方され、やっぱり治らず、慢性疲労症候群と診断が降った時には薬の副作用も相まってさらにひどい状況になってしまう方がとても多いように思います。
これは私見ですが、どのドクターも治療家も百発百中でこの病気を治せる人は誰もいないと思います。絶対治る治療法は今のところないという事です。その中でこの薬がいいんじゃないか、この治療法がいいんじゃないかと頭を捻って考えています。大事なのは、何が自分の体に効いているのかを自分自身で判断するという事です。自分の症状は自分が一番わかっているのですから。
そうしなければ、まちがった方向に行ってしまう可能性があります。
逆にいうと間違った方向に行かず、自分に合った治し方を見つけられた方は良くなっていく病気だと思います。原因不明で万人に効く治療法も確立されていませんが、あなたが治らないとは限らないのです。
自分で出来る対処法
※ここで記す自分で出来る対処法は全ての人が必ず良くなるとは限りません。まずは少しずつ行ってみて、症状が悪化するようならやめましょう。少しでも良くなる、楽になるという実感が感じられるなら継続して行う事で少しずつ症状が緩和されていきます。
対処法その1 - 温める
日頃から入浴などで体を温めて、血流を促進することで筋肉に酸素や栄養素を送り込み、老廃物を排出する事ができます。
対処法その2 - ストレッチ
痛いところの筋肉や、関連性のある筋肉を気持ちよく伸ばすストレッチも改善には有効な事が多いです。ただ、動かす事で激痛が走るような場合はやらない方が良いので、注意が必要です。
対処法その3 -食事
バランスの良い食事はどんな病気にも有効です。筋肉疲労も原因の一つになりえます。食事を見直すことで筋肉疲労を改善させましょう。特にビタミンB群の摂取が疲労回復には効果的です。またヨーグルトや納豆などの発酵食品は胃腸の機能を改善させます。胃腸の機能を改善する事で自律神経が整い症状の改善が期待できます。
対処法その4 -瞑想
瞑想やマインドフルネスも自律神経を整えるのに効果的です。「呼吸」や「今」に意識を集中することで、不安を緩和する事が期待できます。
対処法その5 -習慣の改善
朝早く起きて太陽を浴びたり、夜ちゃんと眠れる静かで暗い環境を整えたり、習慣や環境を整えることは自律神経の働きを正常に戻します。もしあなたが気の休まらない瞬間や人に悩んでいるなら、それから距離を置く事も大事かもしれません。
対処法その6 -考え方の改善
強い執着やこだわりはストレスの素です。考え方や物事の捉え方ひとつでストレスがすっと消えることもあります。もちろん簡単な事ではありませんが、病院などの専門機関では認知行動療法も行っています。専門家のカウンセリングを受けることも助けになるかもしれません.
鍼灸マッサージに出来る事
まず申し上げたいのは、鍼灸マッサージは必ずしも慢性疲労症候群と診断が降りていなくても施術を開始する事ができるという点です。実際当院に来られる方のほとんどが「慢性疲労症候群だと思うんですけど」という方ばかりです。ほとんどの方は病院には行ったけれどはっきりしないから来たという方々です。上にも記したように確かに多くの場合、慢性疲労症候群は診断に時間を要します。診断が降るまでに状況が悪化してしまう方も多いかもしれません。
鍼灸は東洋医学という病院とは違う病気の捉え方をしています。病院では原因不明でも東洋医学では原因を捉えられることも多くあります。
また患者さんの体に触れる触診は鍼灸の基本です。それでわかることもたくさんあります。
鍼灸マッサージの現場では施術にある程度のお時間がかかります。その時間のなかで患者さん一人一人の患者さんの状態をしっかり聞き取る事ができるのも鍼灸マッサージのメリットです。
それぞれの状態にあったストレッチのやり方や、姿勢のポイントをアドバイスする事ができます。
鍼灸やマッサージには筋肉の緊張をゆるめて、血流を改善する効果があります。
全体を診て施術を行いますので、自分でも気づかない本当の原因にアプローチする事が可能です。
βエンドルフィンの分泌を促す、リラクゼーション効果も鍼灸マッサージには期待できます。
鍼灸マッサージと日々のセルフケアを組み合わせて対処する事が慢性疲労症候群には効果的です。「慢性疲労症候群」でお悩みの方は鍼灸マッサージをご検討ください。
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