
過活動膀胱
最終更新日 2025/10/15
文責 水上 達郎 (Mizukami Tatsuro)
過活動膀胱
精神的に落ち込むことも多くありました
お名前 A,D
年齢 34歳 性別 女性
症状 過活動膀胱

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来院前の状態
一日に何度も激しい尿意に襲われ、家の中にいてトイレが目の前にある時ですら、少しでも動くと漏らしてしまうため、尿意をこらえるのがとても苦しく、毎日が戦いでした。こらえきれずに漏らしてしまうことも、日に何度もありました。
当院の感想など何でも結構です
治すために、泌尿器科でもらった薬を飲むのはもちろん、骨盤底筋体操や膀胱訓練など、自分でできる限りのことはしてきたつもりでした。それでも全く良くならず、「私はこの症状を抱えたまま一生を終えなくてはならないのか」と精神的に落ち込むことも多くありました。そんな時、わらにもすがる思いで鍼治療を始めました。初めは半信半疑でしたが、1ヶ月ちょっとたった今、良くなってきていることが実感としてあり、本当に嬉しく思います。通っているうちに、先生が病気を治すために真摯に治療して下さっていることが伝わってきて、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
過活動膀胱とは
突然起こる我慢できない尿意
過活動膀胱とは、突然起こる我慢できない尿意(尿意切迫感)を必須症状として、昼間の頻尿や夜間の頻尿を伴って、時に切迫尿失禁を伴う場合もある病気です。何らかの原因で膀胱の排尿や蓄尿機能が正常に働かなくなってしまう病気で、必ずしも器質的変化を伴わない、膀胱の機能性疾患です。
最近はガイドラインが改定され、尿意切迫感という主観的症状を重要視するようになり、『OABSS』という自己診断チェックシートで過活動膀胱の疑いかあるか確認することもできます。
通常大人の排尿回数で1日起きている間に8回以上、夜寝ている間に1回以上は頻尿を疑います。
日本では40代以上の男女の12パーセント、約800万人の患者さんがいると言われています。
また、過活動膀胱は男女とも加齢と共に増加する傾向にありますが、男性では前立腺炎や前立腺肥大、女性では間質性膀胱炎の影響で尿トラブルが起きることも少なくありません。
大切なのは原因となる他の病気が隠れていないかを確認することです。そのために自分で自己判断せず病院に行って検査を受けましょう。

過活動膀胱の症状
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切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)
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尿意切迫感(にょういせっぱくかん)
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昼間頻尿(ちゅうかんひんにょう)
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夜間頻尿(やかんひんにょう)
切迫性尿失禁
突然我慢できないほどオシッコに行きたくなり、我慢しようとしてもオシッコが漏れてしまう
尿意切迫感
突然我慢できないほど強くオシッコに行きたくなる
昼間頻尿
日中に何回もオシッコをしたくなる(8回以上)
夜間頻尿
寝ている間にオシッコがしたくて起きてしまう(1回以上)
以上のような症状がある場合は過活動膀胱の疑いがあります。
過活動膀胱症状質問票(OABSS)
以下の症状がどれくらいの頻度でありましたか?この1週間のあなたの状態に最も近いものを、一つだけ選んで、点数の数字を丸で囲んでください。
質問 症状 点数 頻度
朝起きてから寝るときまでに、何回くらい尿をしましたか?
0 7回以下
1 8〜14回
2 15回以上
1
0 0回
2
夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか?
1 1回
2 2回
3 3回以上
0 無し
1 週に1回より少ない
3
急に尿がしたくなり、我慢が難しい事がありましたか?
2 週に1回以上
3 1日1回くらい
4 1日2〜4回
5 1日5回以上
0 無し
1 週に1回より少ない
4
急に尿がしたくなり、我慢出来ずに尿をもらすことがありましたか?
2 週に1回以上
3 1日1回くらい
4 1日2〜4回
5 1日5回以上
合計点数 点
あくまで目安ですが、質問3(尿意切迫感)が2点以上(週に1回以上)かつ合計点数が3点以上で過活動膀胱と診断されます。
過活動膀胱の原因
過活動膀胱は膀胱に尿がたくさん溜まっていなくても、膀胱が過敏に反応することで強い尿意に襲われます。大きく分けて、上位中枢(脳)の異常や、下位中枢(仙髄)の異常、または脳と膀胱を結ぶ神経の異常で起こる『神経因性』と、そのほかの原因で起こる『非神経因性』のものがあります
神経因性過活動膀胱
脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患の後遺症、パーキンソン病や変性症などの脳の障害、脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄の病気の後遺症により、膀胱に送られる信号(膀胱の内圧の調節や尿道の筋肉の調節)の不調和が起こり頻尿や切迫尿、尿失禁が引き起こされます。
非神経因性過活動膀胱
上記の神経因性以外の原因で起こっているのが非神経因性過活動膀胱です。出産や加齢などで膀胱を支える骨盤底筋の働きが低下した場合もこれに含まれます。また病院の検査でわからない場合(原因不明)もこれに該当し、現在最も多くの過活動膀胱は原因不明だと言われています。
蓄尿障害と排尿障害
排尿の異常には尿失禁、頻尿、切迫尿、オシッコが出ずらい、残尿感、蓄尿時の痛みや違和感、排尿時の痛みや違和感など様々な症状があります。それらの原因になる排尿機能の障害には大きく分けて『蓄尿障害(尿をためる際の問題)』と『排尿障害(尿を出す際の問題)』の二つに分けられます。自分の症状が蓄尿障害なのか排尿障害なのかを知っておくことは治療においても大変重要です。
蓄尿障害
尿をためておく際の障害で、正常の人なら普通に生活している排尿以外の時間は蓄尿を無意識に行っています。一般に排尿障害と言われる患者さんのほとんどはこの蓄尿障害であることが多く、尿失禁でも尿を我慢できずに漏らしてしまうのは蓄尿障害になります。
◆膀胱機能◆
過活動膀胱(膀胱が勝手に収縮する)
膀胱弾力性の低下
膀胱容量の低下
◆尿道機能◆
尿道がゆるい:尿道括約筋不全、尿道過活動
排尿障害
尿を出す際の障害でパーセンテージ的には蓄尿障害よりも少ない。尿失禁でも尿を出しきれないで漏れるのは排尿障害になります。
◆膀胱機能◆
無収縮(膀胱が収縮しない)
排尿筋低活動
◆尿道機能◆
閉尿(尿道が閉じてしまう):前立腺肥大症
過活動膀胱に対する当院の方針
なかなか改善しない過活動膀胱
病院で処方された薬を飲んでもなかなか改善しない過活動膀胱もあります。そのため幾つもの病院にかかったりたくさんの薬を飲み続けている方も多くいます。
当院では以下の方針で施術を行います。
基本は血流の改善
まずベースとなる施術は全身の血流の改善を目的とした施術になります。全身の血流の悪くなると体が冷え、膀胱周辺の過敏性が強くなります。
血流改善による期待される効果
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膀胱の過敏性の低下
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膀胱を柔らかくして蓄尿をしやすくする

膀胱粘膜の改善
膀胱の粘膜に傷や炎症などがあると、過敏になり強い尿意につながる可能性があります。膀胱粘膜の改善は過活動膀胱を良くするのに重要なポイントです。
体質を変えるための施術
内臓の働きを整えることは免疫力や自律神経の働きを正常化して過活動膀胱の改善に有効です。また膀胱は東洋医学的には腎と密接な関係があり、改善には腎の気を補う事も大変重要です。鍼を刺し、灸をすえる事で、筋肉が緩み筋線維がめざめ、血液とリンパ液が流れ、腎臓をはじめとする内臓の働きが活発になり、身体の水分代謝が改善されるとされています。
過活動膀胱の症状はなかなか他人には理解されず、不眠や鬱症状を併発する方も少なくありません。また、突然の尿意のため旅行にも行けず活動範囲を制限され、一人悩んでいる方も多いと思います。
『歳のせいだから』と諦めずお気軽に相談してください。
過活動膀胱の鍼灸の効果
日本ではあまり知られていませんが、過活動膀胱は世界保健機関(WHO)で鍼灸の適応症として公式に鍼灸治療の効果が認められています。
当院でも多くの過活動膀胱に悩む方が来院されますが、「病院で駄目だったので諦めかけてました」と効果を実感された患者さんの声を多くいただいてます。

もちろん患者さん一人一人の病状、体質によって効果が現れるまでの施術回数や時間には個人差があります。しかし、逆に言うとその個人差に対応していけるのが鍼灸等の東洋医学のすばらしさだと思います。
長い間、過活動膀胱に悩んでいる方、病院での治療では効果がなかった方には是非一度鍼灸治療をお試しされる事をお勧めします。
気をつけるべき生活習慣
・ 身体を冷やさない
・ 長時間の座りっぱなしはさける
・ 冷たいものはさける
・ ストレスをためない
・ アルコールを取り過ぎない
・ 適度な運動を心がける
料 金
過活動膀胱の治療は約60分の通常治療です ‥‥‥ 初回4400円(2回目以降5500円)
このページの著者

水上 達郎(Mizukami Tatsuro)
「本当に信頼できる鍼灸師」を目指し札幌の地で開業中。
鍼灸はみなさんが思っているよりも多くの症状に効果が期待できる反面、病院の検査や治療を優先すべき場合もあります。
当院では鍼灸の適応であるかをしっかり判別し、あなたに最善の治療は何かを一緒に考えます。
