top of page

股関節痛に鍼灸ができること|スポーツ・産後の痛みを楽にするポイント

  • 執筆者の写真: tatsuro mizukami
    tatsuro mizukami
  • 5月4日
  • 読了時間: 5分

「走ると股関節の前が詰まる」「開脚すると鼠径部が痛い」「産後から立ち上がりで股関節がズキッとする」――股関節痛は原因がひとつに決めにくく、我慢しながら生活や運動を続けて悪化してしまうことも少なくありません。鍼灸は、画像検査で写りにくい筋肉・腱・関節周囲の異常を把握して、痛みの軽減と動きやすさを改善させるための選択肢です。この記事では、スポーツ由来と産後の股関節痛に分けて、鍼灸でできることを分かりやすくまとめます。

股関節痛


1. 股関節痛は「関節そのもの」だけが原因とは限らない


股関節は骨盤と大腿骨でできた大きな関節で、歩く・走る・しゃがむ・立ち上がるなど日常のほぼ全てに関わります。痛みが出ると「軟骨がすり減ったのでは」「骨が悪いのでは」と不安になりますが、実際には次のような“周辺組織”が痛みの原因になることが多いです。


腸腰筋(股関節の前側、脚を上げる筋肉)の過緊張

中殿筋・小殿筋(お尻の横、骨盤を支える筋肉)の疲労

内転筋群(太ももの内側)の張り

大腿筋膜張筋~腸脛靭帯(外側の張り)

梨状筋など深層外旋筋(お尻の奥)

関節包や靭帯、滑液包の炎症・刺激

これらが硬くなったり、微細な損傷が回復しきらないまま負荷が続くと、動作のたびに痛みが出たり、可動域が狭くなって「詰まり感」「引っかかり感」として感じることがあります。



2. 鍼灸が目指すこと:痛みを下げ、回復しやすい状態へ


鍼灸では、痛みのある場所だけでなく、負担を増やしている筋肉の緊張や、動きのクセ(使い過ぎ・使えていない)を確認しながら施術します。狙いは大きく3つです。


筋肉の過緊張をゆるめる


硬くなった筋肉は血流が落ち、疲労物質がたまりやすく、動かすたびに痛みが出やすくなります。鍼は深層の筋肉まで刺激でき、表面のマッサージでは届きにくい張りにもアプローチできます。


痛みの出方を変える(動作時痛の軽減)


「歩くと痛い」「階段で痛い」など、動作に伴う痛みは生活の質を大きく下げます。鍼灸で周辺の緊張が下がると、関節への圧迫や引っかかりが減り、動作が楽になります。


回復を邪魔する要因を整える


睡眠不足、冷え、ストレス、産後の疲労などは回復を遅らせます。鍼灸やマッサージにより自律神経を整えることも、結果的に股関節の回復を後押しします。



3. スポーツによる股関節痛:使い過ぎ+フォームの偏りが鍵


スポーツでは、股関節に「繰り返しの負荷」がかかります。ランニング、サッカー、バスケ、ダンス、格闘技などでは、踏み込み・切り返し・キック・ジャンプ着地が続き、筋肉や腱が回復しきらないまま蓄積して痛みにつながります。


よくあるパターンは次の通りです。


前側(鼠径部)が痛い/詰まる:腸腰筋、股関節前面の負担

外側が痛い:中殿筋・大腿筋膜張筋の疲労、外側の張り

お尻の奥が痛い:深層外旋筋の緊張、坐骨周辺の負担

内側が痛い:内転筋の張り、骨盤の安定性低下


鍼灸では、痛みの場所に加えて「どの動きで痛むか」を手がかりに、負担が集中している筋肉を絞り込みます。施術後に、股関節の動き(屈曲・外旋・内旋など)や片脚立ちの安定感が変わるかを確認し、必要に応じてセルフケア(ストレッチや軽い筋トレ)を組み合わせます。


大切なのは、痛みが落ち着いた後に“同じ負担のかけ方”に戻らないことです。練習量の調整や、ウォームアップ・クールダウンの見直しも重要です。



4. 産後の股関節痛:骨盤まわりの不安定さと筋力低下が鍵


産後は、抱っこ・授乳・寝不足に加え、骨盤まわりの状態が妊娠前と大きく変わっています。出産後しばらくは、骨盤周囲の筋肉がうまく働きにくく、股関節に負担が集まりやすい時期です。


産後に多い訴えとしては、


立ち上がりや歩き始めで痛い

あぐらや開脚がつらい

片脚に体重を乗せると痛い

抱っこで反り腰になり、前側が詰まる

などがあります。


この時期は「痛い場所だけ」ではなく、腰・骨盤・股関節をつなぐ筋肉(腸腰筋、殿筋群、内転筋、骨盤底筋群など)のバランスが崩れやすいのが特徴です。鍼灸では、過緊張している筋肉をゆるめつつ、回復しやすい状態へ体を整えます。


また、産後は無理なストレッチや急な運動再開で悪化することもあるため、状態に合わせて「今やって良いケア/まだ控えたい動き」を整理することが重要です。



5. 受診が必要なケース(見逃さないために)


股関節痛の多くは筋肉や周辺組織の負担ですが、次のような場合は医療機関での評価が優先です。


転倒など明確な外傷後から強い痛みが続く

体重をかけられない、歩けない

安静にしていても痛みが強い/夜間痛が強い

発熱、強い腫れ、しびれや麻痺がある

産後で痛みが急に増悪し、日常動作が困難




まとめ:股関節痛は「負担の集中」をほどくと変わりやすい


スポーツでも産後でも、股関節痛は「どこかが悪い」だけでなく、「負担が集中している」ことで起こりやすい痛みです。鍼灸は、硬くなった筋肉や回復の遅れにアプローチし、痛みを緩和して、動きやすさを取り戻します。


「休むと少し良いが、動くと戻る」「ストレッチしても変わらない」「どこをケアすればいいか分からない」――そんなときは一度ご相談ください。状態に合わせて、施術とセルフケアを組み合わせていきます。


鍼灸指圧Sweep院長
鍼灸指圧Sweep院長

このブログの著者


水上 達郎

(Mizukami Tatsuro)

「本当に信頼できる鍼灸師」を目指して2011年から札幌の地で開業中



コメント


bottom of page